子供の頃、目の前の風景を頭に焼き付けて、時計を逆回転させる遊びが好きでした。
ひとつひとつのものを出来るだけ個別に意識せずにそれを行います。
新しいものからどんどん消えていく・・・
最後には宇宙も消えてしまい、そこには何も残りません。
「虚無的」・・・それが子供の頃の口癖でした。
しかし何もないという事に違和感はありました。
何もないと認識している自分は存在しているわけですから。
卒業文集には「将来は何者にもなりたくない」と書きました。
そんなぼくがいまは絵描きをやっています。
何かを「遺す」という事が人間の存在理由だと気づいたからです。
その考えは鞘に収まったナイフのように、とてもしっくりしていました。
そんな事を悟ったのもいい出会いがあったからです。
ひとりブランコに座って「虚無的だ」とつぶやいていては何も始まりません。
誰かと出会う事から全てがスタートするのです。
そんないい出会いが白い壁の三角お屋根のコピスにはあります。
ぼくは随分昔からこの小さな雑木林にいます。
家族のいないぼくにはここは実家のようですし、そこに集うひとたちは家族のようです。
あなたもぜひそこに加わってください。
温かいコーヒーを淹れてお待ちしています。
では、次ぎの展覧会でお会いしましょう。
約束ですよ!
(田中 誠)
「黙想」 田中誠